弓の魅力・魔力

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弓の魅力・魔力

2015.10.29

有名な弓作家達の作品はもちろんのこと、現代作家たちの弓たちもその一本一本が自分を主張しています。
そしてプレーヤーや楽器(音源)によっても変化しています。
これはいったい何なのでしょう?
ある若い製作者(キース)がPAJEOTを試奏して「私は言葉を失いました。 一本の弓がこのように美しいサウンドをもたらし、そして絃に吸い付き響かせ続けることがこんなにも容易なんて、まるでプリンセスにキスしているようで信じられない、 このような弓を私にも作ることが可能だろうか?」
そしてキースはオールドフレンチ弓の秘密を謎解く旅を始めました。良質なペルナンブーコの基本的な特色のひとつが弾力性です。弾力性といっても曲がる・柔らかいということではありません。それは最大限に伸ばされた後の復元能力の速さです。より弾力性はオリジナルの状態にすばやく戻ろうとします。圧力に対する反発力と持続力はもちろん大切なことです。
キースは視覚的だけでなく、マイスター達の精神を再現したいと考え、中期バロック時代の弓はオープンフロッグを伴ったペルナンブーコで、初期バロック時代はスネークウッドを選びます。初期バロックあるいはドミニコ・ペカットの感覚を持つモダン弓の製作とは、何個もの複合パズルを一緒にするようなものです。トルテ達、アダム、ユーリーそしてペカット達によって製作された弓は、20世紀の弓とはまったく違うものなのです。
もしあなたがマリーンで演奏したならば...素晴らしい音質と音色でホールを満たすことが出来るでしょう。しかし最近20世紀の音楽が求めているのは、高い周波数と倍音の幅を狭められた大きな音です。
(バロックでは415ヘルツ、交響楽団で442~445ヘルツ、415ヘルツの<ラ>は442の<ラ>を半音低くした音です。)
1912年サルトリーは弾むスピカートと音の一つ一つをはっきりとさせるマルカートストロークを助けるために、弓の中心にアーチングを持ちました。
この事でモダン音楽を演奏するプレーヤーの要求が満たされたのです。キースは自分の求めていたものにたどり着きました。彼は自分のニコラス・メイヤーで試してみました。それは余分な圧力をかけることなく、丸みのあるサウンドを作り出し満足するものでした。
弓が本来の機能を発揮する為に弓のカーブは大事なことです。
ほとんどの弓は常に強いストレスを加えられており、極度の温度下・数百時間オーケストラのプレイヤーに演奏されると仮定すると、オリジナルのカーブ(反り)を持った初期のフレンチ弓を発見することは難しいことです。
人間の背骨と一緒でカーブの正しい調整・矯正は大切なことです。再弓反りに強制された弓の(日本では腰を入れると呼ばれることがあります)作り出すサウンドは言うまでも無く、弓の特質にも広く効果をもたらします。しかし、不適切な反発力・etc...細心な注意を払わなければならない作業です。彼は顧客と話し合いが大切と考え多くの時間を費やします。弓はプレーヤーと楽器を橋渡しする奥深い物です。何を求めどう世話していくかを探求することは大切です。
弓の仕組み・メンテナンス等の情報を得ることによって、プレイヤー自身が頼っている道具について知らないで持っている不満が少しでも減少したらと思います。
以上はストラドマガジンに掲載されていた文から抜粋しました。とても興味深くのめり込んでしまいました。美しいオールドマスター弓の持つ秘密の一つを探り当てたことは、とてもうれしい収穫です。弓の重要性はアルチザンハウスでも常々考えていることです。楽器と違い弓本体は音が出ませんからなんとなく選ばれていたのではないでしょうか。
プレーヤー自身の本能を信じることの大切さ、そして何を求めているのか自身で探求する(答えを出す)努力をすること。
そのためのお手伝いを喜んでさせていただきたいと思っています。